石破茂総理の命式についての考察 ~誕生時刻によって変わる「境目の命式」~
最近、話題の人物である石破茂氏。彼の命式を調べてみたところ、非常に興味深い特徴がありました。
石破氏は1957年2月4日生まれ。この日はちょうど二十四節気の「節分」にあたり、干支暦では1956年と1957年の境界にあたる日です。つまり、誕生した時刻によって、年柱だけでなく日柱の干支までが変わる可能性がある、特殊なタイミングなのです。
通常、誕生時刻によって変化するのは時柱だけであり、日干までが変わるケースはあまり多くありません。しかし石破氏の場合は、誕生時刻が命式に大きく影響する「節入り」前後の特別な生まれ。まさに、四柱推命の醍醐味ともいえる命式です。
このような正確な出生時刻が不明なケースでは、人物像や運勢を断定することはできません。ですが、今回はその「誕生時刻によって命式がどのように変わるのか」をテーマに、ご紹介してみたいと思います。
なお、石破氏の正確な誕生時刻は公表されていないため、今回は運勢や人柄の断定的な解釈は控えさせていただきますので、ご了承ください。
誕生時刻による命式の違いについて
それではここからは、石破茂氏の誕生時刻をいくつか仮定しながら、命式の違いを見ていきたいと思います。
今回はすべて、生誕地とされる鳥取県八頭郡における地方時差(+19分)および均時差を考慮した上で、命式を算出しています。
仮定① 1957年2月4日 午前1時ごろ生まれとした場合
午前1時ごろの誕生と仮定すると、命式は以下のようになります。
元 | |||
時干 | 日干 | 月干 | 年干 |
辛 | 丁 | 辛 | 丙 |
丑 | 未 | 丑 | 申 |
日干が丁(ひのと)です。
内側から静かに燃えるような性質を持つ「陰の火」です。
月干の辛(かのと)と年干の丙(ひのえ)は
無作用干合します
地支は未と丑が冲して、これも無作用です。
0時~2時台までは時柱が変わるだけです。
⇒ | 変化後 | ||
時干 | 日干 | 月干 | 年干 |
辛 | 丁 | 無作用 | 無作用 |
丑 | 未 | 丑 | 申 |
日干が丁(ひのと)は変わらず
月干と年干は無作用干合が成立したので、文字通り作用がありません。天干には2つの干しかありません。一生、このままです。
地支の未と丑の冲は、大運や年運で解けたときには作用します。
干合(天干の干合)や冲(地支の固い結び付き)は、通常なら命式に変化や方向性を与える要素です。しかし、五行のバランスや位置関係によっては「形があるだけで機能していない」ことがあります。それが「無作用」という意味になります。
さらに、この時間帯(午前0時〜2時頃)では時柱のみが変化するため、日柱・月柱・年柱は変わらず、命式の基本構造に大きな違いはありません。
このように、「節分」の日や「節入り」前後に生まれた命式は、天干・地支の関係を丁寧に読み解く必要があります。そして、干合・冲が「作用するか」「無作用か」は、命式全体のバランスや、運の流れによっても左右されるため、精密な分析が求められます。
仮定②1957年2月4日 午前3時ごろ生まれたとした場合
午前3時ごろの誕生と仮定すると、時柱が「壬寅」となり、命式は以下のようになります。
元 | |||
時干 | 日干 | 月干 | 年干 |
壬 | 丁 | 辛 | 丙 |
寅 | 未 | 丑 | 申 |
日干は丁(ひのと)で変わりません
月干の辛(かのと)と年干の丙(ひのえ)は無作用干合
地支は未と丑が冲
日干の丁(ひのと)と時干の壬(みずのえ)は倍加干合
⇒ | 変化後 | ||
時干 | 日干 | 月干 | 年干 |
壬×2 | 丁 | 無作用 | 無作用 |
寅 | 未 | 丑 | 申 |
日干が丁(ひのと)は変わらず
月干と年干は無作用干合が成立
日干と時干の倍加干合で水の五行が倍になりました
地支の未と丑の冲は、大運や年運で解けたときには作用します
🔍 丁壬合水とは?
「丁壬合水(ていじん ごうすい)」とは、陰の火「丁(ひのと)」と、陽の水「壬(みずのえ)」が結びついて、性質が“水”に変わるとされる干合の一つです。この組み合わせは非常に興味深く、対極のエネルギーを持つ者同士が引き合って調和する、まるで火と水が混ざって蒸気になるような、繊細で複雑な変化を意味します。
しかも、日干1つに対して時干「壬」が倍加(ばいか)=2つ現れている状態と仮定すると、「丁壬合水(ていじん ごうすい)」が強く作用し、水の五行が大きく加わることになります。
この干合は、ただの合ではなく「作用する合(有作用)」と読みます。つまり、命式の五行バランスに実質的な影響を与えるということです。
☆このように、誕生時刻がわずかに変わるだけで、命式に含まれる干合や五行のバランスが大きく変化します。
仮定③1957年2月4日 午前11時ごろ生まれたとした場合
午前11時ごろの誕生と仮定すると、時柱が「丙午」となり、命式は以下のようになります。
変化前 | |||
時干 | 日干 | 月干 | 年干 |
丙 | 丁 | 壬 | 丁 |
午 | 未 | 寅 | 酉 |
日干が丁(ひのと)と月干の壬(みずのえ)が変化干合
地支は午と未とが支合
→ | 変化後 | ||
時干 | 日干 | 月干 | 年干 |
丙 | 乙 | 甲 | 丁 |
午 | 未 | 寅 | 酉 |
月令が木(寅)を得ているので、丁と壬が木の五行に変化干合します
地支の午と未の支合は、大運や年運で解けたときには作用します
この命式のポイントは、日干の丁(ひのと)と月干の壬(みずのえ)が変化干合(へんかかんごう)を起こしていることです。
🔷 変化干合とは?
四柱推命において、天干同士が特定の組み合わせで結びつく現象を「干合(かんごう)」といいます。
その中でも、「変化干合」とは、干合が強く作用して、五行のエネルギーが別の五行に変化する特別な合のことです。たとえば今回の命式では、
陰の火「丁(ひのと)」と陽の水「壬(みずのえ)」が結びついて「木」に変化しています。
これは、両者の力が拮抗しつつも調和し、新たな五行の性質を生み出すという非常に繊細で意味深い現象です。
以上のように、午前11時ごろの誕生では、干合が2組成立し、地支には支合もあります。命式の五行のバランスと作用が大きく異なり、人生における性格や運気の流れにも影響を与えることがわかります。
節入り日 節入り時刻
📆 四柱推命では「節入り日」が区切り
四柱推命では、一般的な新暦(グレゴリオ暦)や旧暦(太陰太陽暦)とは異なり、「節入り(せついり)」というタイミングをもとに、年・月・日を区切っています。
この節入りは「二十四節気」に基づいており、たとえば**「立春」が来ると新しい年になる**というように、季節の節目で運気の切り替えが起こります。
🌸 1957年2月4日は「立春」=年の切り替え日
石破氏の生まれた1957年2月4日は、ちょうど立春=節入り日でした。
この年の節入り時刻は「午前10時55分」。つまり、午前10時55分以前に生まれた方は、まだ前年=1956年の命式に属します。
したがって、同じ「2月4日生まれ」でも
午前10時54分に生まれた人 → 年柱は「丙申」(1956年)
午前10時56分に生まれた人 → 年柱は「丁酉」(1957年)
というように、命式が大きく変わってしまうのです。
🕰 地方時差・均時差も重要なカギ
ここでもう一つ見落とせないのが、「地方時差」と「均時差」の存在です。
- 地方時差…標準時の基準(日本では明石市)からどれだけ東西に離れているかによる時間のズレ
- 均時差…地球の自転の影響で、太陽の南中時刻と時計の時刻がずれる現象
これらを正確に考慮しなければ、「10時55分」という標準時上の時刻が、その土地の実際の空の動き(太陽の位置)において、本当に「節入り」の瞬間だったのかは判断できないのです。
たとえば、石破氏の生まれ故郷である鳥取県八頭郡は、標準時の基準地点である明石よりも西に位置しています。そのため、同じ「10時55分」でも、実際の太陽の動きは少し遅れていて、体感的な節入りの時刻もそれに応じて遅れることになります。
🌿 つまり「運気の切り替え時」は、人によって違う
このように、四柱推命では、節入り時刻・地方時差・均時差などを正確に考慮してはじめて、「その人の本当の命式」がわかります。
見た目は同じ「1957年2月4日生まれ」でも、
生誕地、生誕時刻によって、
年柱・月柱・日柱・時柱すべてが変化し得るということですね。
これが、四柱推命が「天の気の写し鏡」と言われるゆえんでもあり、深遠な世界でもあります。どうして、同じ2月4日生まれなのに、元の命式が変わるのでしょうか。お気づきかとも思いますが、年柱、月柱も変わっていますね。四柱推命の暦は旧暦を使い、年、月、日の区切りは節入り日を境としているからです。
1957年2月4日は節入り日です。2月3日までの人は、1956年1月生まれの人と同じ年柱、月柱となります。正確に言うと、2月4日節入り日の節入り時刻までが2月3日の運気となります。
ちなみに、1957年2月4日の節入り時刻は10時55分です。
そのため、この時刻の前後で、運気が全く違うということがお分かりになっていただけたでしょうか。
前後と言うのは、生誕地が明石市から東か西かで表す地方時差と地球の自転の関係による均時差により、その土地の位置により、時間が増減するからです。
日本式四柱推命と中国式四柱推命の違い
石破茂氏のように、時刻ひとつで命式が大きく変化する人物を見ると、「命式とは生まれた瞬間の宇宙の状態を写す鏡である」という、四柱推命の奥深さを改めて感じます。
🐉 中国式四柱推命の“良さ”って?
四柱推命には、古来の中国で体系化された「中国式」があります。
このスタイルは、とても精密で奥深く、命の設計図を読み解く力にすぐれています。
以下に、特に魅力的なポイントを3つだけご紹介します。
🧭 中国式四柱推命の「冲・支合・干合」の読み方
中国式四柱推命(子平命理)では、命式の重要な要素として「冲(ちゅう)」「支合(しごう)」「干合(かんごう)」を使います。しかし、これらは単に「あるかないか」を見るのではありません。
- 五行の強さやバランス 月令(季節の力) 大運・年運の巡り を総合的に判断します。
👉 見た目ではなく「本質」を読み取る。それが中国式の真骨頂です。
🌒「節入り」を正確に見る
- 生年月日が月の変わり目(節入り)に近い場合、
中国式では実際の節入り日時を見て、命式の「月柱」を確定します。 - 例えば2月4日生まれの人でも、午前・午後で「寅月」か「丑月」かが変わることも。
- ここを間違えると、命式全体の五行バランスや性格傾向がズレてしまうため、
非常に重要なチェックポイントとされています。
👉 正確な命式は、そこからすべてが始まる。節入りの重視は中国式ならでは。
⚖️「五行の全体バランス」をとことん重視
- 通変星(食神・印綬など)だけで性格を断定しない。
- 命式全体で何が強く、何が弱いか?
どの五行を補い、どれを抑えるか?
――これを分析して、喜神、忌神を決めます。 - 喜神、忌神は、その人の命を安定させ、運を整える「鍵」になる存在。
👉 「どんな行動が人生にとって良いのか?」を知る、深いヒントがここにあります。
🌼おわりに
中国式四柱推命は、見た目に惑わされず、本当に動いているエネルギーを読む力に優れています。
そのため「一見、変化があるように見えても実は何も起きていない」という命式を見分けられたり、
逆に「表に出ていない運の流れ」を見抜くこともできます。
日本式が「人柄」や「日常の傾向」に強いなら、
中国式は「運の流れ」や「人生の土台」を見極める力に優れています。