五倫五常とは何か
五倫五常(ごりんごじょう)は、
儒教における人が守るべき徳目であり、
人間関係と心の在り方の基本を示した考え方です。
五倫は人と人との関係性、
五常は人の心のあり方を表しています。
五倫とは
五倫は、次の五つの人間関係における道徳的な指針です。
- 君臣
- 父子
- 兄弟
- 夫婦
- 朋友
これらは、人倫の基本とされ、
社会の中で人がどのように関わり合うべきかを示しています。
五常とは
五常は、人の心を五つの徳に分けて考えたものです。
- 仁
- 義
- 礼
- 智
- 信
五常は、五行と対応しており、
五行が自然界の循環を表すのに対し、
五常は人間の心の循環を表しています。
仁・義・礼・智は孟子の四徳とされ、
そこに「信」を加え、五行に配して五常としたのが、
漢代の思想家・董仲舒(とうちゅうじょ)であると伝えられています。
五常と五行の対応
五常は、次のように五行と結びつけて考えられます。
- 木 = 仁
- 火 = 礼
- 土 = 信
- 金 = 義
- 水 = 智
五常を少し詳しく見ると
仁
思いやる心、他者を愛し慈しむ心
礼
礼儀や作法。謙虚な態度で、相手に敬意をもって接すること
信
嘘をつかず、誠実であること。信頼に値する態度
義
人として守るべき正しい道。道理にかなった行い
智
物事をよく知り、善悪を判断する力。知恵と分別
五倫五常の循環を考える
五常は、五行と同じように
循環する関係性として捉えることができます。
木=仁
人を思いやる心が芽生え、
それを行動として表すと、火=礼へとつながります。
火=礼
礼を尽くし、敬意と謙虚さをもって接することで、
関係は深まり、約束や信頼が生まれます。
ここで大切になるのが、土=信です。
土=信
誠実さと信頼があるからこそ、
人との関係は安定し、長く続いていきます。
その先で重んじられるのが、金=義です。
金=義
義理を果たし、道理を守ることで、
人としての器は大きくなっていきます。
そして、自分自身をさらに磨こうとする心が、
水=智へとつながります。
水=智
学びを深め、見聞を広げることで、
人は成長し、その成長は再び
木=仁、思いやりの心を深めていきます。
五常が示すもの
このように五常は、
人の心が成長とともに循環していく姿を表しています。
自分自身が成長することで器が広がり、
相手を思いやる心も、より深く、寛大なものになっていく。
五行と同じく、
五常もまた循環する世界なのだと感じます。


