通変星 比劫(ひごう)についての考察

通変星

比劫とは、中国式四柱推命において日干から見た「自分自身」を表す通変星で、意思・行動力・自立心などに深く関わります。

比劫とは何でしょうか

比劫とは、日干から見て自分自身を表す通変星です。
自分自身が自分らしく在り続けること、その核となるエネルギーを意味します。

比劫が司る主なテーマは、
ほどほどの積極性、意思の表現、実行力、企画力、自立心、継続する力などです。
「前に進む力」「自分で決めて動く力」と言い換えることもできるでしょう。

日本式四柱推命では、
比肩(ひけん)と劫財(ごうざい)に分けて使われますが、
中国式四柱推命では、基本的に比劫として一体で捉えます

どの通変星にも共通しますが、
何でも強ければよい、弱ければ悪い、ということはありません。
世の中には自己主張が強すぎる方もいれば、
逆に意思をあまり表に出さず、周りに影響されやすい方もいらっしゃいます。

命式における「元々の比劫の強さ」と、
行運(大運・年運)による比劫の強さの変化をあらかじめ知っておくことで、
自分のやるべきこと、言動、対人関係における自分の在り方を考察できます。

そして、対処の方法を理解できるようになると、
人生に対する安心感が自然と広がっていくのではないでしょうか。
人の性質は、その時々で変化するものだからです。


比劫が喜神となって表れる命式・運気とその表れ

比劫が喜神となるのは、
身弱の内格、身弱の外格である従旺格・従強格の方です。

元々の命式は「先天運」と呼ばれます。
身弱の方は、他の通変星と比べて比劫が弱いため、
バランスを取る目的で比劫が喜神となります。

中国式四柱推命の基本的な考え方は、
中庸・ニュートラル・バランスです。
多すぎず、少な過ぎず、全体の調和を取ることを重視します。

比劫が喜神として働いている命式では、
自我に落ち着きがあり、温和な状態として表れやすくなります。
ただしこれは、命式全体の五行バランスによるもので、
他の通変星との強さに大きな差がない場合の話です。

中には、極端に比劫が弱い命式もありますが、
それは欠点ではなく、ひとつの個性と捉えてよいでしょう。


喜神比劫が働く時期(大運・年運など)

身弱の内格、身弱の従格の方は、
命式上では比劫が喜神となります。

そのため、大運や年運で
比劫や印星が巡るとき、
またはそれらの「根」を強める運気のときに、
喜神比劫の働きが強くなります。

それ以外の通変星が巡る時期や、
根を弱める運気のとき(例外はあります)には、
比劫が弱まり、喜神としての働きも穏やかになります。

これら、年ごとに変化する運気は「後天運」と呼ばれ、
通変星の強さや五行バランスも、常に変化しています。

なお、喜神比劫を持つ方でも、
運気によって比劫が弱まる時期には、
忌神比劫を持つ方と似た表れが出ることがあります。


比劫が忌神の役割をしているときの表れ

比劫が忌神となるのは、
身強の内格の方、身弱の外格である従児格・従財格・従殺格の方です。

身強の方は、先天運(元々の命式)において
比劫が他の通変星より強いため、
バランスを取るために比劫が忌神となります。

ここでも大切なのは、
中国式四柱推命のモットーである
中庸・ニュートラル・バランスという考え方です。

比劫が忌神として強く表れている命式では、
ストレスを感じやすい、
自我が強く出やすいといった傾向が見られることがあります。

ただし、これは他の通変星との差が大きい場合の話であり、
身強でも比劫が弱い命式も存在します。
その場合、忌神の特性があまり表れないこともあります。

これもまた、欠点ではなく個性と捉えてよいでしょう。


忌神比劫が働く時期(大運・年運など)

身強の内格、身強の従格の方は、
命式上では比劫が忌神となります。

大運や年運で
比劫や印星が巡るとき、
またはそれらの根が強まる運気のときには、
忌神比劫がさらに強まりやすくなります。

一方で、
それ以外の通変星が巡る時期や、
比劫の根を弱める運気(例外はあります)では、
忌神としての比劫の表れは弱まります。

後天運は年ごとに変化し、
それに伴い通変星の強さや五行バランスも変わっていきます。

また、忌神比劫を持つ方でも、
運気によって比劫が弱まると、
喜神比劫を持つ方と似た表れが見られることもあります。


命式と運気を理解して、よりよい生き方へ

命式や運気の特性を理解することは、
よりよい生き方につながる大切なヒントになります。

命式内に喜神比劫を持つ方も、
忌神比劫を持つ方も、
どちらもその人ならではの個性であり、
良い・悪いというものではありません。

たとえ命式を見て
「自分はあまり良くないのでは」と感じたとしても、
後天運によって状況や性質は変化していきます。

性質は一生同じではありません。
私はこういう人だから、と決めつけてしまう必要はありません。

時と場、環境、対人関係、運気、考え方によって、
人は常に変化していきます。
自分自身への解釈に、ぜひ幅を持たせてみてください。

そうすることで、
自然と運は開けていくものだと思います。

自分の特質を理解していれば、
物事への対処の仕方も変わってきます。
人生万事塞翁が馬。

そのことを心に留めながら、
中国式四柱推命を楽しんでいただけたら嬉しいです。