五行・金 〜庚(かのえ)と辛(かのと)〜
火の次、五行の「金」は、二つの性質に分かれます。
庚(陽の金)=鍛えてこそ光る鉄・鉱石
辛(陰の金)=生まれながらに輝く宝石・珠玉
同じ「金」でも、歩む道・輝き方がまったく異なる世界です。
■ 庚(かのえ)
陽の金/鉱石・刃物・剣の象徴
● 庚のイメージ
庚は扱いが難しく“癖のある金属”。
鍛錬されなければ錆びた鉄に戻り、
丁の溶鉱炉で焼かれて初めて鋭い刃になります。
つまり庚は、
磨かれ続けてこそ、本来の強さを発揮する性質 です。
● 庚の長所
丁の炎で鍛えられた庚は、切れ味抜群。
人間にたとえると、社会で活躍するエリート気質。
- 物事を一刀両断する決断力
- 潔さと意志の強さ
- 頭の回転の速さ
- 感性が鋭く、直観力に優れる
- 白黒をつける明快さ
- 逆境にも屈しない強さ
● 庚の短所
鍛錬されない庚は「錆びた刃」と同じ。
- 無気力・怠惰になりやすい
- 堅すぎて頑固
- プライドだけが高くなる
- 取扱いが難しい
- 虚栄心が強くなる
周りの環境によって輝き方がまったく変わるのが庚です。
■ 辛(かのと)
陰の金/砂金・宝石・珠玉の象徴
● 辛のイメージ
辛は生まれながらに美しく、磨かれなくても光る宝石。
とても繊細で、光を屈折させて輝きます。
外からは見えない芯の強さがあり、
孤高に凛として立つ美しさがあります。
● 辛の長所
- 宝石のように美しく、繊細で感受性が強い
- 身ぎれいで、清潔感を大切にする
- 芯が強く、孤独を恐れない
- 生まれつき洗練されている
- 注意力が鋭く、細部に気づく
- 自分の世界を大切にし、人前でぶれない
● 辛の短所
- 生まれつきの光ゆえ、プライドが高め
- 群れず、一人を好む
- 他人に頼らないぶん苦労しがち
- 火(丙)・鋭い刃物(庚)・濁土(己)に弱い
- 周囲を選びながら生きるため孤独になりやすい
- 気が弱い辛は、火の熱で溶けてしまうほど繊細
■ 庚と辛の違い
| 性質 | 庚(かのえ) | 辛(かのと) |
|---|---|---|
| 種類 | 陽の金 | 陰の金 |
| 自然像 | 鉱石・刃物 | 宝石・珠玉 |
| 強さ | 鍛えて強くなる | 生まれつき輝く |
| 行動 | 白黒ハッキリ、外へ向かう | 繊細で内へ向かう |
| 影響 | 環境で性質が大きく変わる | 元々の本質が芯にある |
| 性格 | 強く潔いが頑固になりやすい | 上品で孤高、プライド高め |
| 弱点 | 錆びれば無価値に | 熱や濁りに弱い |
庚も辛も「中途半端」が苦手で、
白か黒かを求めます。
ただし、
庚=鍛えて強さを得る金属
辛=繊細で生まれつき輝く宝石
この違いが性質を大きく分けます。


