五行・水 〜壬(みずのえ)と癸(みずのと)〜
五行の最後を飾る「水」。
その象徴は 壬(陽の水)=大河・海・流れ続ける力
そして 癸(陰の水)=雨・霧・湧き水・優しい恵み。
金が形を定め、水はそこを満たし、
万物を育てる 生命と智のエネルギー にあたります。
■ 壬(みずのえ)
陽の水/大河・海・川の流れ
● 壬のイメージ
壬は大河のように力強く、止まらず、常に先へ流れ続ける水。
「水は方円の器に従う」通り、どんな形にも馴染む柔軟さを持ちます。
流れ続けることが本質のため、
住まい・環境の変化(引っ越しなど)にも比較的抵抗がありません。
自由を愛し、動き続けることで本領を発揮します。
丙の太陽が照り映えるとき、水面は輝き、
壬もまたその光を受けて存在感が増します。
● 壬の長所
- 器に合わせる柔軟性
- 臨機応変で、流れるように仕事が早い
- 自由を愛し、束縛が苦手
- 形を変えながら適応できる
- 陽の水のため、エネルギッシュで行動的
- 頭の回転が速く、新しいアイデアを生み出す
壬は流れそのものが力。
水のように動くことで運気も開いていきます。
● 壬の短所
壬の力は大きいため、流れをせき止められると不調が出ます。
- 流れが弱くなると、本来の良さが出なくなる
- 夏の太陽(丙)に照らされすぎても、土(戊・己)に遮られても停滞する
- 大きな壬は「堰を切った」ような強い言葉を放つ
- 言った本人はすぐ忘れるため誤解を生みやすい
- 動きが早いぶん、細かさには欠けることも
水が流れ続けてこそ清らかなように、
壬も停滞は苦手です。
■ 癸(みずのと)
陰の水/雨・霧・湧き水・露のしずく
● 癸のイメージ
癸は細やかで繊細な雨の水。
霧や蜃気楼のように形を変え、ときに掴みどころがなくミステリアス。
見た目は静かですが、
内側にはしっかりとした芯の強さがあります。
誰の上にも平等に降り注ぐ雨のように、
癸は人に寄り添い、癒しと恵みを与えます。
● 癸の長所
- 優しく繊細で、柔らかい雰囲気
- 芸術的センスに優れ、美・音・光に敏感
- 平等で、誰にでも優しく接する
- こまやかな思いやりがある
- 湧き水のように、周囲に潤いを与える
- 内面には静かな強さと集中力がある
- 想像力が豊かで、表現力・感性が高い
癸は「癒しの水」。
やわらかく人を包み、世界に恵みをもたらします。
● 癸の短所
癸は雨のように静かですが、
溜まりすぎると嵐のように激しくなることがあります。
- 我慢が限界に達すると、突然爆発する
- 穏やかさの裏に冷たさが出ることも
- 形が変わりやすく、つかみどころがないと思われる
- 外には見せない苦労を抱えがち
- 真冬には凍るように、感情が固くなることもある
その繊細さゆえに、人知れず葛藤を抱えやすい星です。
■ 壬と癸の違い
| 性質 | 壬(みずのえ) | 癸(みずのと) |
|---|---|---|
| 種類 | 陽の水 | 陰の水 |
| イメージ | 大河・海・川 | 雨・霧・湧き水 |
| 動き | 流れたい・旅したい | 人を潤したい・癒したい |
| 性格 | 行動的・スピードが速い | 繊細・優しい・芸術家肌 |
| 強さ | エネルギッシュ・豪快 | 内に秘めた芯の強さ |
| 弱点 | 停滞・遮断・熱 | 過度の我慢・冷たさ |
| 共通点 | 柔軟・適応力・知性・人を潤す |
どちらの水も柔軟で、場所を選ばず自ら形を変えて生きていくことができます。
ただし、
壬=自分の流れを求める水
癸=誰かを潤したい水
という違いがあります。


